活動内容5月総会時の卒業生による講演会香粧品皮膚炎の変遷

 

 

香粧品皮膚炎の変遷

東邦大学医学部皮膚科学第一講座教授
伊 藤 正 俊(昭和46年卒)

1997年の黒皮症裁判を契機に、わが国における化粧品の安全性は飛躍的に高くなり、化粧品によるアレルギー性接触皮膚炎は減少したが、プロポリス等をはじめとした効果の疑わしいあるいは配合成分として無意味な植物成分などで起こるアレルギー性接触皮膚炎や、そこにステロイド軟膏を塗布して起こるステロイド皮膚症などの問題が残っている。

また、住環境の変化によるアトピー性皮膚炎が増えているが、そうした病的皮膚への化粧品の使用で、さらに刺激を受けている。

そして、江戸時代以来の垢すり浴法とあいまって、エステサロンなどでの皮膚の過剰手入れにより、皮脂減少性皮膚炎、シャンプー皮膚炎、さらには摩擦黒皮症の増加をみるに至った。

住環境の大きい変化に順応しない、長年の習慣が生んだ慢性型刺激性化粧品皮膚炎の増加が、最近の化粧品皮膚炎の最大の特徴であろうと考える。
そこで本講演では、まず化粧品の定義と分類および当科の化粧品障害の統計について述べ、次にわが国の化粧品障害の変遷について述べる。